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ハーブ、それは人間の歴史に深く関与しています。

皆さんが今病院などで処方される薬が、初めて発見、製造されたのはいつか御存知ですか?それは、つい19世紀前半、1830年にはじめて西洋で「セイヨウ シロヤナギ」という植物から「サリシン」という成分が発見され、それが抽出・合成という研究を重ね、ようやく1899年に始めての薬といわれる「アスピリン」が発明されました。そこから現代までの西洋医学(薬の医学)がスタートしたのです。

ではそれまでの人類は、どうやって熱が出たとき、風邪を引いたとき、病気になったとき、それを癒してきたのでしょう。それはまさしく植物に頼る歴史だった といっても過言ではありません。皆さんもおばーちゃんから、おなかが痛いときに、アロエをすって飲まされた経験はありませんか?また風邪のとき、しょうが 湯を飲んだ経験はありませんか?

人類は遠い古代から、植物の力を借りてさまざまな病気、障害と対峙してきました。 その歴史について少しお話をしたいと思います。

文献として残っているのは、古代エジプト(紀元前1700年ごろ)に既に700種類のハーブの栽培記録が残っています。また文献は定かではありませんが、インドのアーユルヴェーダでは、紀元3000年ごろから植物療法が行われてきたといわれています。

その後、古代ギリシャの医学の父「ヒポクラテス」が始めて医学の分野で400種類のハーブを処方したとされ、その後の弟子たちによって中世にいたるまで、植物の研究やハーブを使ったさまざまな処方がなされてきたのです。

しかし中世ヨーロッパは、ハーブの世界では「暗黒時代」と呼ばれ、宗教上の理由からハーブ療法は、魔女裁判などに代表されるような迫害を受け、修道院で、かつてギリシャ時代の「マテリカ・メディカ」と呼ばれる栽培方法などの文献の写本などで細々と受け継がれていました。

東洋でもインドのアーユルヴェーダ、中国の中医学に代表される漢方、日本独自の漢方、そして中近東ではアラビア医学(ユナニ医学)のイブン・シー ナの記した、「医学典範」という医学書が、近代まで医学の最高書として受け継がれ、そしてその間の十字軍の遠征により、東西のハーブが出会い欧米の世界で も東洋のハーブやスパイスを求め、大航海時代へと変遷していきます。

そのころ中世では、ハーバーリストと呼ばれる専門家たちが次々と活躍し、現在 のようなハーブの体系化が行われるようになりました。その反面、ペストの流行や、ウィルス性の病気などの蔓延により、西洋医学においては抗生物質の発見な ど、薬を中心とした近代薬学の世界へとうつっていきます。20世紀は薬学の全盛期といってもいいでしょう。

しかし、20世紀後半からの ウィルス性の病気の駆逐が始まり、ついには薬で治る病気がどんどん世の中から減ってきて、21世紀を迎えます。そして現代ではみなさんもご存知の通り、薬 では一概に治せない病気、「生活習慣病」や、「ストレス性疾患」といった、食生活や社会生活の変化に大きく左右される疾患が増えてきて、病気にならない体 作りが見直されるようになりました。

この数年、昔ながらの伝統医療・伝統療法である自然療法が見直されるようになり、現在では西洋医学と代替療法の融合、つまり統合医療の時代になってきたわけです。

このようにハーブなどの植物療法の歴史はまさしく人類の歴史とよんでも良いほど、深く長い歴史によって裏づけられた療法なのです。